既に話を聞いていたのか、部屋では日和がもう出る準備を終えていた。

そういえば、と気になって庭の植物を見てみると、やはり屋上と同じように枯れている。
高く大きく成長したヒマワリでさえも、その丈夫な茎から花だけが落ちて、灰のように変化している。

ここまで荒れているのに、どうして日和は何も言わないんだ…。

話をしないと何も始まらないのに、いざ向き合おうとすると、どうしても怖くなってしまう。

「我久さん、準備できたんなら行きますよ!
お嬢、荷物貸してください」

呼びに来た旬に連れられ、日和は部屋を出ていってしまった。

旅館についたらちゃんと話そう。楠井のアドバイスのように旅行とまではいかないけど、きっと息抜きになる。

我久はぎゅっと拳を握り、静かに頷いた。