若の瞳が桜に染まる

この枯れ方…。日和が爺さんに拐われた時と同じだ。

「いつから枯れ始めた?」

「えっとー、先輩がいなくなった頃です。その辺から日和の様子もおかしくて…。

でもここまで完全に枯れてしまったのは、何日か前です」

その周辺で何かがあったと考えるべきだろう。
疑いたくなんてないけど、たぶん日和は何かを隠してる。

「こう言っては何ですけど、日和も息が詰まってきたんじゃないですか?
慣れない環境に身をおいてる訳でしょ?旅行にでも連れていってあげたらどうです?」

旅行か…。
楠井は、俺と日和の関係をただの夫婦だと信じているからな。
人質である日和を屋敷の外に連れ出すことの難しさを知らない。

でも、日和と話す機会を作らないといけない。
俺が何とかしないと、また爺さんが出てきてしまう。