若の瞳が桜に染まる

どうしてこんなことになったのか。
帰ってきたら聞いて欲しい話があると言っていたのに、結局それも聞けず終い。

この状況では聞けない。もう日和に話しかけるのが怖かった。
原因がわからないのに無闇に仕掛けてもきっと良くない。

想像の中では何をやっても上手くいかない。そして、現実世界では無気力になっていた。

そんな日が二日続き、さすがに楠井も口を出さずにはいられなくなった。

「先輩顔ヤバイですよ。
犯罪にでも走りそうです。
一旦オフィス出ましょう」

「あぁ…」

楠井に促され、廊下へと出た。オフィスを後にする瞬間に日和の方を見たのだが、やはり目は合わなかった。