若の瞳が桜に染まる

「爺さん…。
ここで何やってんだ?
まさか日和にまた何か…」

うつむいて黙りこんでいると、そこに現れたのはたった今帰ってきたらしい我久。

「…我久」

日和は荷物を見られないように、さっと自分の背中の後ろに隠した。

「自分の嫁くらいちゃんと見張っておけ」

辰久はそれだけを言うと、部屋を出ていった。

「大丈夫?
爺さんに脅されたりしなかった?」

「…大丈夫」

心配そうに日和の顔をうかがうが、我久は知らない。
蘭とのキスを日和が知ってるということを。