若の瞳が桜に染まる

真夜中。月も高くにのぼっている。
昼には元気よく太陽の方を向いているヒマワリも、夜だと寂しそうに見える。

屋敷は閑散としていて、残された日和は今頃皆戦っているのだろうかと思いながら、バックに荷物を詰めていた。

最後に気を付けてと言いたくて我久を探していた最中に目撃してしまったキスの現場。

我久と蘭にとって自分は邪魔者だった。今まで気づかないで思い上がっていたと、悲しみに押し潰されていた。

今夜は屋敷にほとんど人がいないのだから、逃げ出すには絶好のチャンスだった。

必要最小限の荷物だけ持って、縁側からの脱走をしようとした。

別れ惜しくもあるけど、もうここにはいられない。

花に別れを告げようと、ヒマワリに手をのばすと、そっと触れただけで茎から花だけが落ちてしまった。