若の瞳が桜に染まる

女としては見られているのに、意識されたことは一度もない。
まぁ、我久のタイプが日和みたいな女なら当然だろうが。

それでも、どこかで意識させるチャンスはあったんじゃないかと考えてしまう。

私がこうやって色々考えている間も、いかにして強くなるかを語っているこの馬鹿に対して。

そのチャンスは何も過去に限らず、今だって。

…例えば。

「やっぱ訓練の時間を増やすべきかな。

俺だって、蘭の力になりたいからね」

「我久…」

そう、例えば…。

「ん?

どうした、ら……」

我久が名前を呼び終える前に、胸ぐらを掴み引き寄せた。

そしてその勢いのままに、唇を重ねた。