若の瞳が桜に染まる

我久に話さなきゃ。でないと、隠したことになってそれこそ裏切り行為だと疑われる。

その時、襖が開いた。慌ててオルゴールを鞄へ戻す。

「あ、おかえり…」

「ただいま。
あのさ、聞いて欲しいことがあるんだ」

少しだけ、怖い顔をしている。

「…うん」

「明日の夜なんだけど、十二時過ぎに組の仕事をしてくる。

終わったらすぐ帰ってくる。
寝てていいからな」

「…危ない仕事…、ってことだよね。

気を付けて。

それで、我久が帰ってきたら、聞いて欲しいことがある」

今は我久が大変なことも十分わかった。だから日和の問題は、 落ち着いたときにゆっくり話そうと思った。

「聞いて欲しいこと?
今じゃなくていいの?」

「うん」

この時は、あのオルゴールの存在よりも、我久を心配する気持ちの方がすごく大きかった。