「どうしたんです、怖い顔して?
もしかして、茶島会のことですか?物騒ですよね。

俺も今、怪しい組織が絡んでるかもしれない違法カジノについて取材してるじゃないですか。
まだそこに繋がる情報は掴めてないんですけど、ちらほらと茶島会の名前は出てきてます。
噂では、高校生使って一般人に薬売りまくってるって。

これじゃあ、裏も表もあったもんじゃないですよ。

ってことで先輩!
もしも俺の取材が実を結ばなければ、フォローしてください!」

ぱちんと音を鳴らして手を合わせ拝んでいる。

「…文脈がおかしいだろ。

やっぱりその手のことを記事にするのは危ないし難しいんだよ。
今からでも手を引いた方がいい」

「んー。今その言葉を聞くと、妙に説得力がありますね」

こうやって、楠井は時々我久の若頭という役職を憧れつつも弄るようになっていた。
我久としても、変にその話題を避けられるよりはその方が良くて受け入れていた。
むしろ以前よりも仲良くなったと言えるのかもしれない。

「それ、普段の俺には説得力無いってこと?」

楠井は、へへっと笑ってごまかした。