若の瞳が桜に染まる

「え、…えっと。

…そう、なのかな…」

「嘘でしょ。
この時代にそんな結婚の仕方…。
断れなかったの?
いや、今からでも断るべきよ。

受け入れちゃ駄目でしょ」

香織の言っていることが正しすぎて、我久は胸が痛かった。

「うん…。
でもね、最初は、…そうだったかもしれないけど。

…今は、……一緒にいたくて一緒にいるの」

隣を見ると、日和は膝の上で手をぎゅっと握りしめている。今の言葉の本気度が目に見えて伝わってきた。

そうだ。何を心配しているんだ俺は。
ちゃんと気持ちを確かめ合ったんだ。夫婦なんだから、堂々としていればいい。

「ヒヨリン、流されてるんじゃないの?」

「ううん」

ゆっくりとだがはっきり、日和は首を横に振った。

まだ完全に納得しきれないような香織だが、それ以上問い詰めることはしなかった。