若の瞳が桜に染まる

嘘が苦手な二人にとっては、窮地に追い込まれてしまう質問。だが、そんな冷静な反応がやっぱり意外だった。

我久としては、壁を作られ距離をとられ、一気に他人行儀になると予想していた。

屋敷に長居もしたくないだろうから。

だが香織はあくまで香織だった。

「事情がないとおかしくないですか、結婚なんて。
だって、出会ってからそんなに経ってないですよね?

ちゃんと説明してください」

香織の言うことはもっともだった。

もちろん事情があってのことだが、ここで日和は人質だなんて言ってしまえば、日和の父親のことまで話題にあがってしまう。

そんなことをして、日和の傷を開きたくはなかった。
もっと言うと、そんなことをして日和に頼りない男だと嫌われたくなかった。