若の瞳が桜に染まる

部屋の前の庭に突き出された不審者二人。

「…なっ……」

我久は絶句した。

一瞬自分のいる場所がオフィスかと錯覚してしまうほどの衝撃。

「どこかの回し者かもしれません。どうしますか?」

「あ、先輩!日和!」

そこにいたのは、香織と楠井の二人。

その馴染みのある顔を前にして、目の前が真っ白になる。

焦りと緊張からか、一気に鼓動が激しくなったのだけはわかった。

なんで二人がいる?
不審者ってどういうことだ?

捕らえた形とはいえ、屋敷の中に入れてしまった。俺と日和の姿を見られてしまった。

…この二人は何をどこまで知ってるんだ?