若の瞳が桜に染まる

「…頭冷やしてください」

溜め息をひとつつくと、すがる我久の腕を振り払って部屋を出ようとした。

「な、何で!
これ以上の理由なんてないだろ!」

「本気で言ってるんですか?我久さんはもう少しお嬢のことを見た方がいいですよ」

これでもかというくらい日和を見てきて、それ故に楠井との仲の良さを見せつけられた我久にとっては、追い込まれるだけだった。

「俺よりも日和を見てる奴なんていないよ!

楠井と二人でイチバンボシの話をしてんだよ?
俺が二人の仲を邪魔しようものなら、この棘で刺すからなって言われてるようなもんだよ!」

やはり酔っ払っているからか、いつもより大胆かつ意味不明な発言が増える我久。