若の瞳が桜に染まる

店を出た五人は、それぞれに帰ろうとしていたのだが、そこで待ってましたとばかりに香織と楠井は一瞬アイコンタクトを取り、さっと移動をした。
香織は我久の隣に、楠井は日和の隣に。

ちなみに残った吉田は吉田で上機嫌でいるふらふらしている。

「さぁ、そろそろ帰りましょうか。また明日も仕事ですしね」

流れに身を任せそうになったとき、我久と名前を呼ばれた気がした。
どうにか正気に戻った我久は、瞬時に自分の状況を理解した。むこうでは楠井と日和が二人でいるが、日和はじっとこっちを見ている。

このままの組み合わせで帰ったらまずいと、我久はふわふわとした意識の中ではっきりと感じ取っていた。

「俺こんなんだし、岡本さんは、ほら。
楠井に送ってもらいなよ」

「何言ってるんですか。
こんな天祢さんを放っておけないですって」

このまま屋敷まで送られたら終わりだ。どうにかしないと。