若の瞳が桜に染まる

どうにもならない心境だった。それでも、隣で香織が色々と話しかけてくれるのだからと、楽しむように心がけた。

目の前にいる二人のことは無視をして、無理にテンションを上げようとする。

だが、自力で楽しもうとしても虚しくなるだけで、早々にお酒の力に頼った。遺伝か育った環境からか、アルコールには鍛えられていた。

そのせいでなかなか酔えず、気がつけばもう何杯飲んだかわからなくなっていた。

ここまでくると、さすがに日和に心配の目を向けられる。だが気にせずに、意地を張って香織との会話に集中した。

「次号の記事の見出し、気になるカレとの縁を結ぼう、なんです。

それで、取材で縁結びの神社とかスポットを巡ったんですけど…、本っ当に女性ばっかりなんです!

そんなに必死で彼氏が欲しいのかって哀れんでたんですけど、ふと気づくと私もその一員なんだなって…。

わかりますか、この気持ち?」

外見に似合わずに生ビールを飲み干した香織は、いつもよりも一歩踏み込んで我久と会話をしていた。