若の瞳が桜に染まる

その不安はいつまで経っても消えることはなく、飲み会が始まっても、日和や楠井とまともに目を合わせられないという最悪の状況にいた。

我久の隣には香織が陣取り、その隣を吉田がキープ。
向かい側には楠井と日和が仲睦まじく座っている。

胸中全く穏やかではない。

「今日見せてくれたイチバンボシ、今まで見てきた画像のものなんかよりずっと綺麗だった。やっぱ日和が育てた植物は違うなー。

また珍しいのが咲いたら見せてよ」

「うん。教える」

そんな二人を見るたびに、二人の会話が耳に届くたびに我久の精神はやられていった。

本音を言うと、楠井に話を聞いたときからイチバンボシというバラがどんな色なのかずっと気になっていた。
ネットで検索すればすぐに出てくるだろうに、何となく今は知りたくなかった。

なんだか部外者が必死で知識を固めて関わろうとしているみたいで、嫌だった。

単純に言えば、プライドが邪魔をしたというだけのこと。