若の瞳が桜に染まる

「あれ、先輩?
またおかしくなっちゃった…。
あ、そろそろ屋上行かなきゃ」

屋上という言葉に、ピクリと反応した。

「え、なんで!?」

「日和にバラを見せてもらうんです。ただのバラじゃないんですよ!
イチバンボシっていう珍しい品種です。
全体的には淡い黄色なんですけど、花びらの縁だけほのかにピンクに色づいているんです。絵に描いたような綺麗さですよ。

それをこの目で見られる日が来るとは、感動です」

バラか…。品種の名前を言われても全然ピンとこない。
やっぱ共通の話題があるって大きいよな…。

「そうなんだ。
行ってらっしゃい…」

それからは再び、日和と楠井がどうにかなったらどうしようと、似たような不安を繰り返し繰り返し巡らせていた。