若の瞳が桜に染まる

それから香織とどういう話をしたのか、どうやってオフィスの自分のデスクまで辿り着いたのか記憶にないままに、ただただ無駄に時間を過ごした。

「天祢?

なんだこいつ、全然反応しないな」

「せんぱーい。

本当だ。何かあったんですかね」

周りで心配する吉田と楠井の声にも無反応で考え込んでいた。

どうしよう。
日和に意識する男が現れるなんて…。
全くの想定外という訳ではないけど、こうも早くこんな展開が訪れるとは思ってなかった。

悔しいけど、日和と楠井ならお似合いだと思ってしまう。日和だって、人見知りの俺といるより明るくて人懐っこい楠井のほうが、一緒にいて楽しいのかもしれない。