今日の朝は俺のほうが少しだけ早く家を出て、それからすぐに日和も出たはずだった。
そのあと誰かに送ってもらうことなどあるのだろうか。
しかも、出勤したのは俺よりも後だった。通勤途中に会って、その運転手とどこかに立ち寄ったのか?

散々思考を振り回されたあと、香織はイタズラっぽく笑って見せた。

「安心してください。
きっとその人、ヒヨリンの身内ですよ」

「え、身内?」

あり得ない。その方があり得ない。

身内といったら父親しかいないはずだ。血の繋がりだけでみれば親戚もいるが、互いにその存在を知ってはいない。