そこでは、日和が眠ったままに呼吸を荒くしていた。苦しそうにうなされている。

「…日和?大丈夫?」

軽く肩を揺らすと、はっと目を覚まして、体を起こした。戸惑った色を浮かべ、ここがどこだかはっきりしないようだ。

「大丈…ぶっ…」

声をかけようとしたその時、日和が腕の中に飛び込んできた。

え…。なんだこれ。

そのいきなりの事態を飲み込めずにいた。だが、日和の腕が震えていることに気がつき、その体を抱き締めた。

「怖い夢でも見た?」

「…。

…あ、ごめ、大丈夫」

震えがおさまらない腕は、すぐに離れてしまった。何でもないというように、布団に戻って寝ようとする日和だが、その後ろ姿は全く大丈夫そうじゃない。