若の瞳が桜に染まる

だから、庭を出歩くだけで少し気晴らしになるのならと、付き合うことにした。

「池があるんだ。

あ、…鯉がいる」

「お嬢さん、落ちないでくださいよー」

池の側に座って、水面に浮かぶ葉と清楚な白い花を見ている。

注意を促したはいいが聞いていないのか、池を覗き込むその体勢はかなり危なっかしい。

「あっ…」

言ったそばから落ちそうになっている日和を見て、旬は反射的に手を伸ばした。

「あぶねっ」

なんとか日和の体に腕を回し思い切り自分の方に引っ張った。そのせいで思いがけず、抱き締める形で倒れ込むこととなった。