若の瞳が桜に染まる

あの、絶対に敵に回してはいけないと噂されている天祢組の男たちが、一人の女性に使われているとはね…。

そんな庭の様子を見て、旬は苦笑いを浮かべた。こんな状況が辰久の耳に入れば渇を入れられるだろうに。

だが、そんなのは皆わかってのことだ。それでも日和を無視しなかったのは、何か理由があるのだろうか。

「お嬢!こっちにもまだありました!」

また一人男が日和に軽やかに駆け寄る。

男たちが手伝っているのは、日和を我久の婚約者として扱わなければならない義務があるからだと思った旬だが、どうやらそれだけではないらしかった。

男たちは全員が楽しそうにしている。まるで宝探しでもしているようだった。

旬は日和が我久と共にいる所を初めて見た時から思っていた。目の前の人間がどんな外見だろうと、どんな地位だろうと、彼女は気にもとめない。それが良い悪いは別として、組長に対してもため口をかましたと聞いている。

その壁の無さが、新鮮であり戸惑もある。だが、悪い気はしなかった。

そう感じたのはきっと旬だけではなく、我久も組の他の男たちも同じだったのだ。