若の瞳が桜に染まる

「あー、終わった終わった。
よくもまぁ、こんなに育てるもんだな」

庭のあちこちに置かれた植物たち。殺風景だった庭が色とりどりに埋め尽くされ、全て運び終えた時には、夕方になっていた。

「植物があると寂しくないから」

寂しさを紛らわす為に育ててんのか?
そういやこいつ、警視総監の隠し子だって言ってたし他に家族もいないって聞いたな。

意味深な日和のその言葉に、触れるべきではない所に踏み込んでしまったかと、横目で様子を窺う蘭。
どんな反応だとしても、謝るなんてことは絶対にないのだが。

次の瞬間には日和の澄んだ声が響いていた。

「そうだ、蘭さん。あれ」

そう言って、広めの鉢に植えられた花を指差した日和。