若の瞳が桜に染まる

「はぐらかすな」

明らかに悪意を持っての質問だったというのに、日和は包み込んだ上で返してきた。反論ではなかった。

蘭の経験上は、ここから言い争いになって、どちらからともなく手が出て足が出て…。
そういう流ればかりを見てきたし行ってきた。
なのに、受け止められたような受け流されたような、こんなことは初めてだった。

だから、慣れてなくて、気分が悪かった。

花なんか育ててるとこんな性格になんのかと、何気なく自分の運んでいた鉢を見てみた。

それは花ではなさそうだ。変な形をした小さな木。

「なんだこれ…」

「…ガジュマル、だよ」

鉢を並べながら蘭の方を振り返った日和が答えた。

「変な名前」

「…幸福をもたらす精霊が住む木だって、言われてる。
あと、金運も上がるって…」

「まじ?金運上がんのかよ」

金運というワードに目ざとく反応する蘭は、もう目が金に眩んでいた。