若の瞳が桜に染まる

天祢組という男ばかりの組織で育ってきた蘭は、男として育てられたも同然だった。

弱けりゃ自分のせい。
強けりゃ認めてもらえる。
そんなわかりやすい世界で、ただひたすらに強さを求めて生きてきた。

我久や旬には、たまには女として扱えと怒鳴ることもある。しかし、街中で女だからってナメられて喧嘩売られた時には、その男が二度とそんな口をきけないまでボコボコにしていた。

結局は、女扱いされるよりも強いと思われることの方が嬉しく、価値あるものだった。

それが今、女の中の女というような日和に女性扱いを受けて起こった謎の感情。初めて抱いた、くすぐったいこの感情を持て余していた。

「褒めたって、優しくなんてしねーよ」

「うん…、私を疑うのが、蘭さんの役目なら仕方ない」

「…。

あんたの目的は我久なのか?それとも天祢組か?」

「私は…、ここにいる目的とか理由を、持って良い立場じゃない」

なんだこいつ。
気分が悪い。こういうタイプの人間には慣れていない。