あたし、綾瀬由宇!!
高校2年!!


今日からあたしの一人暮らしが始まります!!!!






《プルルルル》

ん〜?

とっても気持ちの良い朝。
スマホの着信音で、目覚める。

こんな朝から ...誰よ?!
あたしの至福のときを邪魔するのは!!!!!
いらいらしながら、眩しく光る画面を見た。
その途端、一瞬で機嫌が良くなる。

「もしもし?!」
「あら、由宇〜!ちゃんと起きれたわね〜」
「ママ!!起こしてくれたの?!」
「そうよ〜由宇は朝が苦手だもんね」

そう。
電話の相手はママ!
あたしは、ママが大好き!!
でも、共働きでなかなか一緒に居られなくて寂しい思いをしたことが何度もあった。

でも、あたしは一人じゃなかったし。
それに、一緒にいれないぶん、他の人よりも親への感謝の気持ちを持ってる。
だって!!
二人が働いてるのだって、あたしのためだしね。
こんなに嬉しいことは、ないよ。

話は長くなったけど....とにかく!!
あたしはママもパパも大好きなんだ!!!



そんなあたしが....なぜ二人と別れて暮らすのかって?
それはね.....!


「ごめんね〜こんな歳になって旅行なんて」
「ううん!むしろ、思いっきり楽しんできて!!!」
「お土産、楽しみにしてなさ〜い」
「はーい!!」

パパとママが、長い休暇をもらって旅行に行ってるから!!
二人は、旅行が大好きでね、結婚する前も結構一緒に行ってたんだって。
でも、仕事で忙しくなって、行けなくなっちゃったから、今のうちに行こうって。

「そろそろ教えてくれてもいいんじゃない?」
「え?」
「何で一人暮らしするまでして、福岡に行こうと思ったの?」
「…」
「また、そーやって黙って〜!ズルいわよー」
......っ!
しょうがない、もう言って楽になるんだ!!!!!

「実はね...あたし、転校してみたかったんだー」
「え、どういうこと?」
「だーかーら!!!転校とかって、一回は経験してみたいものじゃん!!!」

あたしは、ドヤ顔で続ける。

「福岡には、あたしの大好きな明太子もあるしね!高校卒業する前に、やりたいことやっちゃいたくて...」
「...はぁ、あんな真剣に頼み込むから....深刻な理由かと思ったら....。」

ママの呆れた声が聞こえる。
えへへ、ごめんなさい。
精神年齢が低い、馬鹿な子で。笑

「明太子....ねぇ...」

そこ?!
そこですか?!
さ、さすがあたしのママ...!
想像を超えてくるんだけど...。

「あっ!!やばい!!そろそろ行かなきゃ」
「まあ、楽しそうで良かったわ〜!行ってらっしゃい」
「行ってきます!」

嬉しそうなママの声に、あたしも嬉しくなった。
まあ、行ってきますって言っても、まだ行けないんだけどね。

顔を洗って、昨日買っといたパンを食べながら、あたしは走って学校へ向かった。