「おう、サンキューな‼︎ じゃあまた」 そう笑顔で言うと、グローブを持ってない方の手を軽くあげて走って教室を出て行った。 半開きになった教室のドアを見ながら、少し背伸びをする。 「ん〜‼︎」 ......夏見屋くんとは初めて喋ったなぁ。 「〝頑張れ〟だって」 フッと思わず笑いが出る。 手伝ってくれてもいいのに。 なんてそんな事初めて喋った人には言えないけど。 ...まぁそんな事はどうだっていいか。 「よしっ」 頬を少しペチンと叩いて気合を入れると、運びかけの机に手を伸ばした。