僕は彼女に背を向けて、川を渡ろうとした。

 彼女はもう、あの時とは違う。いや、もとからか?


 怖い。怖い。恐怖が押し寄せてきて体がうまく動かなかった。震える体をなんとか川の真ん中まで進め、腰まで水に入る。




 しかし、川は細いが勢いは激しくて僕は簡単に流れに飲み込まれた。 



 川に流される僕を『死』は追ってくる。真っ黒な跡を残しながらすごい勢いで走ってくる。

 すぐに黒くて細く長い手が伸びてきて、僕の顔を掴んだ。
 ぬめりとした感触が僕のこめかみに触れた。




 僕はもう死ぬんだ。黒い粘液にまみれて、両親の…ように…。