彼女は僕の背後に立ったままだった。


 ゾクリと寒気が走った。







『ワタシハイナクナラナイヨ。イナクナルノハ〇〇クン…。キミダヨ。』







 僕は何か聞こえた気がして振り返った。彼女は僕に向かって微笑んでいた。

 
 ゆっくりと彼女の顔が変化していく。

 目があったところにはには黒いものが渦巻き、口からは黒い液体が垂れてた。白い肌は灰色へ変わりひび割れた。

 ワンピースがじわじわと黒く染まっていく。


 僕は驚き、後ずさった。川に足がざぶりと浸かった。冷たかった。背筋が凍っていたいた。心までも、凍った。 

「あ……。え……?」

 理解できなかった。

『〇〇クン…』


 あぁ、呼ばれるたび嬉しかったのに。今は寒さが増すだけだ。もう一歩後退し、ざぶりと川の水へ膝まで浸かる。


 『〇〇クン…』

 彼女の体が溶けていく。黒い液体が広がって、もう人の形ではなくなった。黒いドロドロとした塊から細い手足がニュルリと突き出し、ぼんやりとした大きな目が愉快そうに微笑んだ。 

 まるで……あの時の……。

 河原に並ぶ死体。




「こ……殺さ…れる…。」




 『〇〇クン…カワイソウ。〇〇クンハ…イツモヒトリボッチデカワイソウ…ダカラ…ワタシガ…"タスケテアゲルノ"』

 ずるずると音を立て近づいてくる。