少しして、美波が名木田先生と飯島先生を連れて走ってきた。
焦りながら名木田先生は言った。
「きゅ……救急車は呼んだかっ!?」

「救急車はっ……呼びましたっ……」
雄二みたいに、私もまともに話せなくなってしまった。
どうしてかというと、宮島先生がさっきから息をしていない気がするのだ。
あと、とても冷たくなっている……。まるで屍のように。
この事を先生達に言いたくない。口に出すのが怖い。でも言わないと宮島先生が……。

「せ……先生っ!みっ……宮島先生が……息を……」

パニックでこれ以上話せない。
私も宮島先生と同じで息ができなくなっていってる気がする。
苦しくて苦しくて、咳き込んでしまった。
宮島先生が死んでしまっているかもしれない。
そう考えるだけで肩が震える。
でも、絶対、宮島先生なら、死なないよ……。
自分にそう言い聞かせ、落ち着かせるしかなかった。

「雨宮……落ち付けっ……俺たちが何とかするから……なぁ」
そういう飯島先生の声も震えていた。

それから5分くらい経ち、ようやく救急車が来た。

救急車にみんなで乗り込み、その中で、美波と話をした。

「このメールって……もしかしてっ……本物……?だから宮島先生が……嫌だっ!怖いっ!」
「いやぁ……そ……そんな訳……ある訳……偶然……偶然だよ……絶対……偶然……それに宮島先生なら……絶対……絶対無事……無事だよ……」
「無事だっていう……証拠無いじゃん……無い……だから無事じゃないかも……」
「美波!落ち着いて美波!パニックにならないで!美波!!」

舌が回らない。
声が震える。

あのメールとこの事件は関係無い……そう信じて、落ち着くしかなかった。

宮島先生の顔は、青と言うより紫に近かった。まるで死んだ人の顔。
本当に宮島先生が亡くなっているかもしれない。
なんとなく、ただなんとなくそう思った。
嫌だ!本当に嫌だ!宮島先生が死ぬとか……それが現実であっても、私は絶対に受け入れない。
だって宮島先生だから……優しくて元気な宮島先生ならきっと死なないから……。

どうか……どうか無事でいて下さい……宮島先生……。

制服のスカートを握って、そう願った。