新しいこと。
慣れない場所。
知らない大勢の人たち。

それらが全部不得手な私にとって、新学年の新学期はとくに苦手だった。

中学はマンモス校で、春哉とは結局三年間一度も同じクラスにはなることはなかった。

部活は強制入部。

私は絵が好きというだけで美術部に、春哉はずっと続けていたサッカー部に入部した。

中学一年。

「よろしくね! 中谷さんと仲良くなりたいな」

慣れない空気に窒息しそうになりながら隅っこで息をひそめていた私に声をかけてきた子がいた。

初対面なはずなのに、はきはきと通る声で。

ヘアスタイルもお洒落で、明らかに自分とは違う種類の女子だった。

「うん......よろしく」

どうして、私なんかに?

頭の中は疑問だらけで、激しく戸惑ったけれど、同じ小学校の子も少ないクラスの中で明らかに浮いている私に話しかけてくれる人がいた。

そのことが純粋に嬉しかった。