「クラス、違うじゃん」
「嫌なやつはわかるし」
目立つグループだったから、他でも揉めていたのかもしれない。
けれど、今回のことは春哉には全く関係ないことだ。
なんで?
理解ができなかった。他人の為に傷だらけになるなんて、私には出来ないことだから。
「もう、大丈夫だから。明日から学校来いよ」
ただ真っ直ぐに私をじっと捉えるその瞳。
「お前は悪くないんだから、あんなやつらほっといて、堂々としてればいいんだ」
ぶっきらぼうな言い方だけど本気で心配してくれていたことが伝わってきて、口を結んで俯くと鼻の頭が痛かった。
ありがとう、
とその言葉だけを喉の奥から絞り出し俯いた。
翌日。
不安と緊張で、軽い腹痛を感じながら登校するとすぐ担任に呼ばれ、目の前に男子たち並ばせた。
「お前たち、中谷さんに、なにか言うことがあるだろう?」
半分強制的に言わされている謝罪の言葉よりも、私の心を晴れやかにしてくれたのは、彼らの唇や頬に残るあざや引っ掻き傷だった。
もちろん先生には言わなかったけれど。

