何も言えないまま、学校を休み続け、土日を挟んで五日目。

その日連絡帳を持ってきてくれたのは近所の同級生で、毎日来ていた春哉は姿を見せなかった。

「春くん、今日学校でケンカしたんだって」

受け取った母から聞いて驚く。

「なんで……誰と?」

相手は私をからかっていた男子たちだった。

何人かと取っ組み合いのケンカになり、
それぞれの家にも先生から連絡が行ったという。

じっとしていられなくて、
家を飛び出し裏の家のインターフォンを鳴らした。

「春……」

出てきた春哉を見て、口をつぐむ。

瞼と口の端っこが生々しく赤く腫れとても痛々しく見えた。

転んだ怪我程度は何度も見てきたけれど、
ケンカ傷を見るのは初めてで内心とてもショックだった。

「なんで……ケンカなんて」

「べつに。元々あいつら、嫌いだったんだ」

私の様子を察したのか、
気まずそうにそっぽを向く春哉。