「あぁーあ、洋大(ヨウタ)なにやっちゃってんのー?」
一緒に騒いでいた男子が面白がったように茶化した。
「なんっだよ、お前らが押すからだろぉ?」
仲間に言い返しながらも、ごめんと謝ってずれた机を直してくれる。
すぐに謝ってくれるあたり、悪い人では無いのかもしれない。
「あ、いや、別に……」
目を逸らしたまま、私は何とか返事のような言葉を口から出そうと格闘する。
初めて話す、しかも男子。
それだけで緊張し、乏しい語彙力が更に無くなってしまう。
「ん? なんだ、これ」
すぐ傍にしゃがみ込んだ彼が呟いた。
周りの様子がよく見えなくて、端に置いたはずの眼鏡を探す。
見当たらないーー。
ぶつかった弾みで落ちたのかな、と
机の下を覗き込むと同時に、男子の声が耳に響いた。
「あぁーーっ!!」
大きな声で叫ぶ彼手には見覚えのある金属製の何か。
「おめぇ、うるせーよ洋大」
「何騒いでんの、日高(ヒダカ)は 」
いつもは気になる周りの野次より、その手の中のモノから目を離せない。
それは私の眼鏡によく似た形をしていた。

