窓際の席なのは良かった。
周りの笑い声がやたら耳に響く時は、窓の外や、本に集中しているふりが出来るから。
度が合わなくなってきた眼鏡を一度外して机に置き、目を擦る。
ぼんやりと見える窓越しに校庭を見ると、正門に並ぶすっかり花びらを落とた桜は、ただのぼやけた緑色の塊のようだった。
「うわっ!」
張り上げた声と小さな金属音。
私の机に誰かがぶつかる衝撃。
驚いて振り返る。
「いって、ごっめん、大丈夫?」
茶色い髪を無造作にセットしたお洒落男子。
制服も着崩していて、眉も整えていそうなタイプだ。
一番、苦手な部類の人種。
「……はい」
自分で思っていた以上に、消え入りそうな声が出た。

