小さな頃から口下手で人見知りだった。
それが中学のあの出来事から、更に酷くなったように思う。
慣れていない人と話すと、異様に頬が火照り、汗が出て、目が合わせていられない。
気がつけば自分から他人に話しかけることが、出来なくなっていた。
最近は、春哉や榊さんを介して多少は他の子ともやりとりできるようになってきていたから――大丈夫かもしれない。
そんな気になっていた……。
高校2年目の春。
二年に進級し榊さんとも春哉ともクラスが離れ、思い知らされる。
私は、何も変わってない。
新学年が始まってすぐは、何人かの子が話しかけてくれた。
私も自分なりに頑張って返したつもりだったけれど、どんどん出来ていくグループのどれにも入ることは出来なかった。
気がつけば、一人。
ゴールデンウィーク明ける頃には、
なんとなく気分が落ち込み、疲れっぽく、勉強に集中できない、眠れない。
いわゆる「五月病」に陥っていた。