きみの隣


美術部の活動日は週に三回。

兼部している人もいて、一年生は三人部員は十名ほど。

部活では、誰かと親しく会話することも出来ず、まともに話せるのは顧問の先生だけ。

入ってすぐ入部したことを少し後悔し心が折れそうになったけれど、ひたすら作品作りに没頭していた。

秋に展覧会があり、夏休みには何度か登校したけれど、朝練に土日は練習試合、夏の合宿もあったりで慌ただしくしている春哉や榊さんに比べればずっと自由で楽だった。

そんな美術部も夏が終わると、にわかに文化祭と展覧会の作品作りで忙しくなり始める。

暖かい季節はチロを夕方まで玄関先に繋いでいて、その鳴き声で、誰が来たからだいたい分かる。

「チロぉ。 元気だったかぁ」

春哉がチロを呼ぶ声は、普段より少し高く優しい。

がしがしと垂れた耳ごと撫で回し、最近顔に白い毛が混じり始めたチロも気持ちいいのかうっとりと春哉を見上げている。

散歩、散歩、とリズムを取りながら、リードと散歩袋を手にした春哉の周りを、催促するようにチロが飛び跳ねる。