「けど、俺、ひなは高校に入ったら帰宅部になるかと思った」
同じことを、榊さんにも言われた。
私が、中学と同じく美術部入部を決めたことを二人は驚いたようだった。
「中学では休みがちだったけど、けっこう好きだったから、あの雰囲気」
ほとんど部活に行かなかったけれど、何かに一つの物に集中して作り出す。
あの感じは嫌いではなかった。
油絵具の匂いやいつも無表情な石膏も。
けれど、変わりたい気持ちがあったのは確か。
「そっかぁ。俺は苦手なんだよな、絵とか描くの」
あまりにも春哉らしい言葉だった。
「春哉は昔からじっとしてるのが苦手だよね。サッカー部は、どう?」
「厳しいけど、先輩とかすっげぇ上手いし、勉強になるし、やる気出る」
吊革を握り、外の景色を瞳に映しながら、真面目に嬉しそうにこたえる。

