そして――また新しい春。
「雛子、春くん待ってるわよ」

「うん、行ってきます」

外に出ると青空が広がっていて、長袖のシャツから出ている肌に、朝の澄んだ空気がぶつかる。

草木が呼吸している匂いがした。

玄関を出ると同じように空を見上げる春哉を見つける。

「おはよ、待たせてごめん」

「おう、行こ」

春哉と私はまた同じ学校へ通うことになった。

バスで20分ほどの進学校。

約束したわけでも、示し合わせたわけでもなく、単にこの辺りで私が目指せる学校が、春哉の希望の学校だったのだ。