「かーちゃんまだ帰らんから、つまらん。ひな、あそぼー」

同じ年に産まれた子どもがいて近くに住んでいれば、

母親同士も自然と仲良くなり子どもたちは兄妹も同然のように育つものだ。

幼稚園くらいの頃から鍵っ子の春哉(ハルヤ)は毎日のように私を呼びに来た。

春哉はじっとしていなくて駆回るのが大好きなタイプ。

対して、私はひどく人見知りで引っ込み思案。

けれど、春哉とはよく一緒に遊んでいたことをよく覚えている。

朝一番の外の空気は緑の香りが充満していて、家の中ではヤモリに出会った。

少し降りれば国道があり、
すぐそこにコンビニはあるけれど、
電車の駅は無人。

低い山々に囲まれた、つまり田舎寄りのベッドタウン。