「……なんで?」
「え?」
「榊さんは、なんでいつも私に話しかけてくれるの?」
それは素朴な疑問だった。
二年生の時も、このクラスにも、私にこんなに頻繁に話しかける物好きなクラスメイトはいなかった。
彼女なら仲良くする相手はいくらでも選べるはずだ。
「え? だって、友達だから」
その言葉に脳の機能が一瞬停止する。
瞬きをして真っ直ぐに彼女を見つめた。
当たり前のように、そう言い切る様に何も言えず黙り込む。
それは、素朴な疑問に対するとても素朴なこたえだった。
「え、違った? 話しかけたら駄目だった?」
私の反応に酷く慌てて動揺する彼女に、とても申し訳ない気持ちになった。
「う、ううん。駄目じゃないけど」
「よかったぁ」
そう言って、嬉しそうに柔らかく笑った。
「じゃあ、友達。で、いいよね?」
気遣わしげにこっちを見る彼女に、小さく頷く。

