「最近、なんか学校で俺のこと避けてない?」
不機嫌さを隠しもせずに春哉に問い詰められても。
出来る限り彼女たちを刺激したくなくて、学校では不自然なほど春哉を避けていた。
「絶対避けてるだろ? 最近じゃ学校で目も合わせないし」
最近は、主に最近新しく増えたうちの家族ビーグル犬のチロと遊ぶため、春哉は暇になると家へ来ていた。
「クラスではうまくやってるのか? 友達とは?」
「......大丈夫だよ。上手くやってる」
チロの散歩をしながら、入学してから何十回目かのやりとりを繰り返す。
リードを引きながら、真っ直ぐに私を見つめる。
彼の見透かすような視線から逃げるように横を向いた。
これ以上は聞かないでほしい、と強く念じながら。
春哉を通じて母に漏れることも怖かったから。

