緊張すると上手く話せない私と彼女との会話は余り弾まなかったけれど、沈黙が出来ると春哉の話題をよく振ってくれた。
話し下手な私との少ない共通の話題として、幼馴染みの話をしてくれているのだと思っていた。
「最近中谷さんと仲良しじゃん。気が合ってるんじゃない?」
「やめてよぉ! あんなぼっちで暗いのと気が合うとか。春哉くんの情報を聞きたいだけだし」
トイレの個室で彼女の本音を聞くまでは――。
私は彼女とどう接したらいいかわからなくなり、話しかけられないように距離を置くようになった。
嫌がらせが始まったのは、それから少したった頃。
「暗いよね」
「感じ悪い」
「キモ」
私が発言すると、周りから笑い声があがる。
教科書は破られ、体操服や靴は汚され、教室の隅に捨てられる。
「中谷。こんな所に置きっぱなしにするな」
教師には心配される所か、注意された。