優衣のいない冬休みが孝太に訪れた。突然告げられた優衣のアメリカ行きをうまく受け止めれずに少しばかり落ち込んでいた孝太……
孝太   「はぁ…。もう十時か…。優衣ちゃん出発したかな…」
ぼやきながら、歩いていると、腕を組んだカップルが通りすぎる。
孝太   (だーー!も~~!なんで俺には彼女ができないのだ―!泣きたい…今年もまた、クリぼっち確定だな…、はぁ…家で一人でゲームするか…)
そんな冬課外のある日に孝太が家に帰ろうと玄関に向かい靴箱を開けるとそこには手紙が入っていた。孝太は靴箱をもう一度閉めて開ける。しかし、手紙があるのは変わらず。次に頬をつねってみた。
孝太   (痛い…ってことは、夢じゃない。とうとう、俺にも春が来たーー!)
そして家に帰り、中身を読むと、「明日、課外の後に教室に来て下さい。伝えたい事があります」と書いてあった。
翌日課外が終わり教室に戻ってくるとそこにいたのは……
孝太   「宮本さんだよね?隣のクラスの」
菜月(なつき)「私のこと覚えていてくれたんですか!?」
孝太   「もちろんだよ。1年の時、同じクラスだったよね?」
菜月   「はい!嬉しいです、覚えててもらえて」
孝太   「それで、話って…?」
夏輝はもっと顔を真っ赤に染めて言った、
菜月   「あ、あの、その、一年の時から永田君のことが好きでした。だから、そ、その、私と付き合って下さい!」
恥ずかしそうに下を向いて言った。それを聞いて、孝太は頭が真っ白になって固まっていた。
菜月   「あの~」
そう言って固まった孝太の顔を覗き込む。孝太はハッと我に返って、
孝太   「ほ、ほんとに!?俺なんかでいいの?」
     「俺の中身知ってる?」
菜月   「はい、知っています…生粋のヲタクさんですよね?」
孝太   「うん、だから、俺なんかでいいのかな~って」
菜月   「実は五園寺君がヲタクって知って私も少しアニメとか見てみたらはまっちゃって、今では立派なヲタクになっちゃいました」
緊張が解けたのか夏輝は少し舌を出し笑った。
孝太   「そうだったんだ。こんな俺でよければよろしく」
そう言って孝太は菜月に笑いかける。

そしてそんな孝太に彼女ができたころ、優はというと詩織を自宅に招待していた。
優    「ただいま~」
詩織   「おじゃまします…」
優    「じゃあ、俺の部屋に案内するから」
そうして、階段を上り優の部屋に入る。
優    「飲み物は、ホットミルクとココアどっちがいい?」
詩織   「じゃあ、ココアで…」
優    「了解!ちょっと待っててね。あっ!そうそう、フィギュアとかは触らないでね」
優はそう言って一階に下りていく。
詩織   「ここが優君の部屋…」
フィギュアやらポスターなどがたくさん並んでる優の部屋を詩織は物珍しそうに見渡す。
と、その時に扉が開いた。
詩織   「優君、おかえりなさい?」
扉を開けて立っていたのは、優ではなく妹の香澄だった。
香澄   「お兄ちゃん~帰ってきてる~?ん?どちらさまで?」
詩織   「えっと…優君の彼女の石川詩織です」
香澄   「あっ…妹の香澄です」
と言って、香澄は部屋を出て行ってしまった。そして、香澄は自分の部屋に入り、勉強をしていた涼香にむかって、
香澄   「涼香!涼香!」
慌てた様子で涼香の肩を揺さぶる。
涼香   「なに?香澄。そんなに慌てて。とりあえず、深呼吸して」
そう言われ香澄は深呼吸をする。
涼香   「少しは落ち着いた?」
香澄   「うん、それでね。今ね、お兄ちゃんの部屋にか、彼女さんが…」
涼香   「ふ~ん、お兄ちゃん、とうとう連れてきましたか…」
香澄   「涼香、ど~する?」
涼香   「ん?どうするって、勉強する」
香澄   「涼香、そんなこと言わないでよ~」
そんなことを妹たちが話している時に、
優がトレイにココアの入ったコップを持ってきた。そして、詩織に手渡す。
詩織   「優君ってさ、妹いたんだね」
優    「あれ、俺、詩織に言ったっけ?妹がいる事」
詩織   「それはね、さっき妹さんの香澄さんが部屋に来て…」
優    「詩織、ちょっと待ってて」
そう言って優は部屋を出て行く。そして、優の向かった先はもちろん妹達の部屋。扉をノックし、
優    「香澄。涼香。入ってもいいか?」
涼香   「はい、いいですよ」
優は扉を開け、部屋に入る。
優    「香澄、俺の部屋来た?」
香澄   「うん。行ったよ」
優    「そうか。で、用事は?」
香澄   「いや、お兄ちゃんいるかな~っと思って」
優    「ふ~ん、用事が無いならいいや」
そう言って優は部屋を出ようとする。
香澄   「いやいや、お兄ちゃん、そんなことよりだよ!何で、お兄ちゃんの部屋に彼女さんがいるの!?」
優    「ん?そんなの俺が連れてきたからに決まってるだろ?」
涼香   「あら?本当にいらっしゃるんですか?」
優    「あぁ、今俺の部屋にいるぞ?」
涼香   「では、お兄ちゃんの妹として挨拶しないと。さぁ、香澄行きますよ!」
香澄   「えぇ~!さっきしたのに~」
といいながら涼香に引っ張られるようにして連れて行かれる。その後ろに優がついていく。

そして、優の部屋に到着し、
優    「えっと~この人が俺の彼女の石川詩織で…そして、この二人が俺の妹で…」
涼香   「妹の涼香です。詩織さんって呼んでもいいですか?」
香澄   「妹の香澄です」
詩織   「うん、いいよ。二人ともこれからよろしくね♪」
結衣奈は香澄と涼香に微笑みかける。その笑顔に妹たちが少しよろける……。とそのときに涼香が優に、お菓子を買ってきてほしいと頼む。
優    「えぇ~ここからどれだけ距離あるとおもってんだよ!」
涼香   「お願い!お金は香澄と二人で出すから」
香澄は涼香の方を見ると涼香は香澄に向かってウインクをした。香澄はそれで涼香の考えを理解して重ねて頼んだ。
香澄   「私からもお願いします!」
優    「わかったよ、何が欲しいかはラインで送って。詩織は欲しいのある?」
詩織   「じゃあ、私もラインで送るね」
優    「了解!じゃあ、ちょっくら行ってきますよ…」
そう言って、優が家を出て行ってしまったのを、確認した香澄と涼香は、詩織のほうを振り返って、突然こう言い放った。
香澄   「ずばり!詩織さん、お兄ちゃんのどこに惚れたんですか?」
詩織   「えぇ!?そ、そんな急に言われても…」
涼香   (照れてる詩織さん可愛い…)
詩織   「えっと…その…私の困ってるときに助けてくれるとこかな…」
涼香   「ほうほう…。それで二人の出会いは?」
詩織   「えっと…私が入学して間もないころに、道に迷ってたときに優君が声をかけて助けてくれたんです。そのときの優君がとってもカッコよくて…。それから、周りの人に聞いたりしてもっと知りたいと思って、今年の春に告白したんです」
涼香   「お兄ちゃんが人助け…そんな、まさか…」
香澄   「でも、お兄ちゃん。いざって時は頼りになるからな…」
それからも、優について三人が話していると、優が買い物から帰ってきた。
優    「はぁ…疲れた…」
詩織   「優君、お疲れ様です♪」
香澄   「お兄ちゃん、ありがと~♪」
涼香   「お兄ちゃん、ありがとうございます…」
そして、優は三人にそれぞれ頼まれていたお菓子を渡す。そのときに詩織と妹たちが仲良く話してるのを見て、
優    「よかった…二人とも詩織と仲良くなったみたいで」
香澄   「ん?なんで?」
優    「いやな…二人ともそこそこブラコンだから…心配で…」
涼香   「それは、最初はショックでしたよ?でも、詩織さんと話しているとこの人もお兄ちゃんのこと私たちと同じ位、大好きなことがわかったから…」
そのことを聞いて詩織は顔を真っ赤にしてうつむく。
優    「なっ!?いきなりそんなこと…」
香澄   「わ~お兄ちゃん照れてる(笑)」
優    「お前らがそんなこと言うからだっつの!」
香澄   「では、お兄ちゃんも帰ってきたことだし、あれしちゃおっか、涼香」
涼香   「そうだね、香澄」
優    「二人とも何するつもりでして?」
香澄・涼香「ヒ・ミ・ツ♪」
そういって、二人は一階に降りていく。二人はすぐに上がってきた。そして、二人の手に握られていたのは……。
優    「ま、まさか…それは…」
香澄   「じゃあ~ん!お兄ちゃんのアルバム!」
優    「やっぱりか…」
優は額に手を当てて首を振る。
涼香   「一緒に見よ?結衣奈さん」
詩織   「本当に!?いいの!?」
香澄   「はい!どうぞどうぞ」
優    「おいおい!勝手に…」
しかし、優が止めようとしたときにはもう遅く、三人は楽しそうに優のブラックボックスを開けて楽しそうに話していた。その三人は詩織が帰るまで続いた……。