あっという間に夏休みが終わり、後期課外がスタートし、またみ  んな忙しくなり勉強に明け暮れる日々……。そして、夏休みが終わり二学期がスタートした。

二学期の始業式が終わり、みんなを待っていたのは実力テスト…
しかし、これを何とか乗り切り、二学期が始まった。
優    「テスト終わったー!」
優衣   「優、ちゃんと解けたの?」
優    「優衣、それは聞くな…」
優衣   「も~だから、夏休みにしておきなさいって言ったでしょ?」
優    「はい…言いました。次回はちゃんとしますから…」
優衣   「それ聞くの何回目だと思ってるの?」
優    「そ、それは……」
孝太   「優衣ちゃん、もうそれぐらいにしてあげて…優もわかってると思うから…ね?」
優衣   「孝太君がそういうなら…しかたないわね」
優    (ん?あれれ~?優衣、どうした…?それに孝太も…。いつもは何も言わないで見てるだけなのに…)
優は優衣と孝太の態度に異変を感じたが何も言わずにそのまま会話を続けた。

そんなある日、先生に呼ばれた優衣を待っていたのは……。
先生   「新谷さん、アメリカに冬休みの間ホームステイしに行ってみない?」
優衣   「えぇ!?私がですか?」
先生   「うん。でも急だから無理にとは言わないけど…」
優衣   「少し考える時間貰ってもいいですか?」
先生   「そうよね。じゃあ、良くしっかり考えて、また後日教えてね」
優衣   「はい。失礼します」
そして、優衣はみんなに言うべきか内緒にしていくか悩みながら廊下を歩いていた。そこに、たまたま歩いてきたのは…。
優衣   「優ちゃん…どうしたの?こんなところで」
優    「あぁ…近くに用事があったから」
優衣   「ふ~ん、用事ね…まぁ、いいわ、ちょっと話があるから付き合って」
優    「うん」
     (話ってなんだろう…?う~ん、まぁ、俺も話あるからいっか)
そして、二人は優衣の提案で屋上に向かう。屋上の扉を開けると少し肌寒い風が優と優衣の肌をなでて行く。
優    「それで、話って…?」
優衣   「うん、さっきね。先生から冬休みの間アメリカにホームステイに行かないかって誘われたの…」
優    「へぇ~すごいじゃん!」
優衣   「それでね、優の意見を聞きたくて…」
優    「俺は純粋に行ってきて損はないと思うぞ?」
優衣   「そういうことじゃなくて…だから…その…私が一時いないんだよ!?」
優    「優衣、せっかくのチャンスなんだぞ?活かさないでどうする」
優衣   「それはそうだけど…優ちゃんは寂しくないの?冬休みいないんだよ?」
優    「うん、だけど、寂しいってことを理由にしてこのチャンスを蹴るのか?それに、たかが、冬休みの間だけじゃないか」
優衣   「優ちゃんはうちと離れても寂しくないんだね?そういうことでいいんだよね?うちはとっても寂しいのに…」
優    「優衣、それは違うぞ。俺がお前と離れて寂しくないだと?そんなわけあるか。寂しいに決まってるだろ!でも、お前の将来のことを考えて言ってるんだぞ?」
優衣   (そんなことはわかってるよ…優ちゃん…うちは、ただ優ちゃんに止めてほしかったんだよ…)
     「だよね…優ちゃんならそう言ってくれると思ってたよ。うん、わかった。じゃあ行ってくるね」
優    「おう!行って来い。俺はどこにも行ったりしないから」
優衣   「優ちゃん、その台詞、恋人がいない人がいうやつだよ」
優衣はくすっと笑いながらいう、そして、優は少し照れながら
優    「まぁ、細かい事は気にすんな…」
優衣   (こういうセリフをさらって言えるから優ちゃんカッコいいんだよね…)
     「ふう、最初に相談したのが優ちゃんでよかった」
優    「それは、どういたしまして…じゃあ、もうそろそろ戻るか」
優衣   「うん、ありがとうね…」
そして、優と優衣は教室に戻ろうとした時に、
優    「そういえば、孝太と何かあった?」
優衣   「い、いや、何もなかったけど」
優    「そうか、俺の思い違いか…」
優衣   「うん、きっとそうだよ。あっ、それと孝太達には黙っててね。ちゃんと決まったときに教えたいから」
優    「わかった、でも、本当にいいの?」
優衣   「うん、みんなに心配かけたくないから…」
優    「優衣がそれでいいなら何も言わないけど…」
優は優衣の少しさびしげな表情に気付かなかった……
そして、教室に戻り帰り支度をし、みんなと合流し家に帰る。

それから、何もない普通の日々が過ぎてとうとう二学期の終業式を迎える。
終業式の日のSHRで優衣がアメリカにホームステイに行くことがみんなに伝えられた。そして、SHRが終わり帰り支度をしていると、
孝太   「優、お前知ってたか?優衣がアメリカに行くこと」
優    「あぁ、知ってたよ」
孝太   「なんで教えてくれなかったんだよ!」
優    「それはだな、口止めされてたから」
孝太   「誰から?」
優    「優衣」
孝太   「本人からなら仕方ないか…」
優    「まぁ、たかが冬休みの間じゃないか」
孝太   「そりゃそうだけど…」
孝太がそう口ごもっているところに優衣が歩いてきて、
優衣   「優ちゃん、もう帰るの?」
優    「ん、ああ。あっ、そうだ。優衣。アメリカ土産頼むよ~」
優衣   「しかたないな~覚えてたらね…」
優    「じゃあ、よろしくな。じゃ、帰るか」
そして、優と優衣が先に行き、後ろからなぜかがっかりした様子で孝太が歩いていく。

優衣が出発する日、空港の搭乗口で、
優衣   「じゃあ、行ってくるね」
優    「おう、行って来い!怪我だけはするなよ」
優衣の両親「優衣、行ってらっしゃい。気をつけてね」
そして優衣は搭乗口に向かう。
優    「いっちゃったか…」
優は少しさびしげな表情で飛び立つ飛行機を見つめる……