いつもの朝が来るはずだった…
いつもどおり目覚まし時計が鳴り起きると、横に誰か がいる。布団をめくってみるとそこには……
優    「わぁぁぁ!?」
優はベッドから転げ落ちた。隣に優衣が寝ていたからだ。
優    「なっ!?なんで!?」
混乱しているところに優衣が起きた。
優衣   「おはよ~優ちゃん」
優    「いやおはようじゃなくて、なんで俺の隣で寝てるの?」
優衣   「ん~寝たかったから?」
優    「なるほど、じゃいいや。って、なるかい!」
優衣   「ありゃ?ならないの?」
優    「まぁいいや、速く着替えて来いよ。遅刻するぞ?」
優衣   「うん、そうだね」
と言って、いきなり優の前で脱ぎだす優衣。
優    「おい、優衣。な、何してんだよ」
優衣   「なにって着替え」
優    「い、いやそんなの見たらわかるわ!」
     「なんで自分の部屋で着替えないんだよ!」
優衣   「ここに着替えがあるから?」
優    「いや、なんで持ってきてるんだよ!」
優衣   「準備いいでしょ?」
優    「いや、そうじゃなくて。まぁいいや」
優は説得するのは諦めて見ないようにして着替えだした。そして、  着替え終わろうとしたときに香澄が入ってきた。
香澄   「何してたの?」
優    「え、いや、なにって、着替えてただけだよ」
香澄   「着替えてただけ?じゃあなんで、優衣ちゃんがいるの?」
優    「知らないよ!朝起きたら隣で寝てたから、それで…」
香澄   「まぁ、なんでもいいや。ちょっと優衣ちゃん後で私の部屋に来て」
優衣   「はぁい」
そして、優は朝ごはんを食べに一階に行き、優衣と香澄は香澄の部  屋に…
香澄   「優衣ちゃん、どういうこと!?お兄ちゃんの隣で寝てたって本当?」
優衣   「うん、ほんとだよ。優ちゃんにうちのこと見てもらいたいから」
香澄   「そ、そうなんだ、いきなりだね。アハハ(苦笑)」
優衣   「うん、だから、これから明日からも優ちゃんの部屋で着替えるから、よろしくね」
香澄   「なぁんだ。そういうことだったんだ。そうするなら先に言ってよー。協力するのにー」
優衣   「えー、そうだったんだ。だったら協力してもらっちゃおうかな」
そして、優衣と香澄の秘密の会議が始まった…
その日を境に優衣の「優を振り向かせる為の作戦」が開始されたのだった…。
それからというもの、優衣は毎日のように朝、優の部屋に侵入して優を振り向かせようした。
しかし、当の優はというと…
優    「聞いてくれよー孝太―」
孝太(こうた) 「ん?どうした、優」
優    「それがなー最近優衣の様子がおかしいんだよ」
孝太   「優衣ちゃんがどうしたって?」
優    「それがな~この前から朝、俺の部屋で寝起きしたり着替えたり
      大変なんだよ」
孝太   「寝起き!?着替え!?」
     「おい…優。まさか…そ、その、おまえにかぎって、な?」
優    「孝太、お前落ち着け。それに自分が何言ってるか気付いてるか?」
孝太   「ん?ってことは、何もないってこと?」
優    「あ、当たり前だろ!」
孝太   「よかった~」
優    「ん?なんで、お前が安心してんの?」
孝太   「え、いや、それは、あれだ」
優    「いや、どれだよ。まさか、お前」
孝太   「そうだよ、俺は優衣ちゃんが好きだよ!」
優    「まじか…そうだったのか。じゃあ、俺の立場やばくない?」
孝太   「あぁ、俺と変わって欲しいぐらいだ」
優    「孝太よ…あいつを振り向かせるのは大変だぞ?」
孝太   「まぁ、そうなるよな…優衣ちゃん、優一筋だもんな…」
優    「おいおい、弱気でどうするよ。安心しろ俺には彼女いるから」
孝太   「あっ!そっか、優、彼女いたんだった。忘れてたよ」
優    「まぁ、忘れていたことは後に置いとくとして、お前どうするつもりなんだ?優衣と付き合いたいのか?」
孝太   「付き合いたいけど、優衣ちゃんの俺に対する好感度低いよね?」
優    「まぁ、高くはないな」
孝太   「だよね~~(泣)」
優    「とりあえず、頑張れ。俺も協力するから。でも、危ない橋は渡らんからな」
孝太   「優~~やっぱり、持つべきものは友達だね」
優    「で、これからどうするんだ?」
孝太   「それでな~頼みたいことがあるんだけど…」
そして、優衣も孝太も何も進展しないまま夏休みを迎える。
夏休みが始まったが、夏課外で三分の二潰れる。それが俺が通う学校の夏休み。
そして、その夏課外の前半が終わろうとした時にふっと孝太に頼まれた事を思い出した。
孝太   「優、夏休みの前期課外が終わったら優衣ちゃんと俺とお前とお前の彼女とダブルデートをセッティングしてくれない?頼む!」
優    「はぁ!?まじかよ…。俺、優衣をデートなんて誘った事ないぞ?それに、どうやって誘えと?」
孝太   「えぇ!?そうだったのか…まぁ、がんばれ」
と言って、孝太は教室に帰ってしまった。
なんてこと頼まれてたなぁ、なんて思いだす優だった。
優    「さぁ、今日電話して頼んでみるか…」
そして、その日の夜、 俺は優衣に電話をかけた。
優    「もしもし、優だけど。前期課外の次の日って空いてる?」
優衣   「いきなりだね。うん?空いてるよ」
優    「その日にさ~俺と詩織と孝太とダブルデートしてくんない?」
優衣   「えー、孝太と詩織と~なんで?」
優    「うーん…孝太と約束しちゃったんだよ。期末で勝ったほうが負けたほうの頼みをひとつ聞くって」
優衣   「で、負けて、頼まれたわけね…」
優    「まぁ、そういうこと。それでどうかな…?だめかな?」
優衣   (うむ~孝太君か…それに、詩織ちゃんか…邪魔者が二人も。でも、優にデート誘われたの初めてだし、一緒に行くわけだし、よし、詩織より可愛いとこ見せれば優だってこっち向いてくれるはず…)
     「うん、わかった。行ってあげる」
優    「まじ?やった~!いろいろ決まったらラインするわ」
優衣   「了解。じゃあ切るね。バイバイ~」
そうして、何とか優衣を誘うことができた優だったが、詩織を誘わなければいけない事に気がついた。
優    (あ~!詩織も誘わないといけないじゃん!まぁ、しかたないっか…勝手に言い出したのは俺だし…よし、今からかけてみるか、いや、待てよ…詩織は誘わず、俺が当日ドタキャンをすれば優衣と孝太を二人っきりにできるじゃん!よし、それでいこう!)
と考えて、優はそのままベッドに入り寝た。