妹たちが話しているとも知らずに、そのころ優はというと……
九時半 駅前で詩織を待っていた。そして、五分後に詩織が来た。
詩織   「お待たせ~待った?」
優    「いや、俺も今来たところ」
     「あっ、その服かわいいね、とっても似合ってるよ」
詩織   「ほんとに!?ありがとう、うれしいな~」
そんな、たわいのないやり取りをしながら歩きだした。近くに妹た  ちが冷たい視線で見ているとも知らずに……
香澄   「やっぱり、学校の友達って女の子だったんだ」
涼香   「ちょっと香澄、早いって…少し休憩しようよ~」
と膝に手を当てて息を切らしている涼香に香澄は、
香澄   「だらしないな~涼香。少しは運動しないと」
涼香   「そんなこと今言われたって…」
香澄   「じゃあ今度から私と一緒に走る?あ、お兄ちゃん達移動する」
涼香   「いや、それは遠慮しとく…。って、待ってよ香澄~」
と言いながら先を行く香澄を慌てて涼香が追いかけていく。

そして兄は妹たちに見られているとも知らずにデートを楽しんでいた。
午前十時 優と詩織は映画を二人で見ていた。そして、それを後ろで見る香澄と涼香の二人。
午前十一時半 映画を観終わって二人で昼食をとり、次はショッピングをする為にデパートに向かった。
午後一時 デパートに到着した。
詩織   「いろいろ見て回りたいんだけどいい~?」
優    「うん、いいよ。じゃあ俺はその間どこにいよう…」
詩織   「よ、よかったら一緒に回ってくれませんか?」
優    「いいよ~」
そして二人は楽しく話ながら見て回っていた。それを忌々(いまいま)しそうに 見る妹たちがいた。
涼香   「楽しそうですね、お兄ちゃん」
香澄   「涼香、何言ってるの!?お兄ちゃんが他の女にとられてもいいっていうの?」
涼香   「そういうわけではありませんけど…お兄ちゃんが楽しいならいいかなって…」
香澄   「うぅぅ…そうだけどさ~お兄ちゃんがとられるなんて嫌なの!」
涼香   「あっ、お兄ちゃん達ここ出るみたいですよ?」
香澄   「えっ!?追いかけなきゃ!見失っちゃうー」
そして二人もデパートを後にする。
そして他にも色々なとこを回り夕日が落ち始めたころに優と詩織は詩織の家の前にいた。
詩織   「今日は付き合ってくれてありがとね…とっても楽しかったわ」
優    「うん、俺もとっても楽しかったよ。また行こうね」
そして、詩織が家に入ったのを見届けて優も家に帰ることにした。しかし、そのあとに家で待っていること優は知らないまま……
午後七時 優が家に帰り着き自分の部屋に入るとそこにいたのは・・・・・・
優    「ん?みんな揃って俺の部屋に集まって何してるの?」
香澄   「お兄ちゃん、今日はどこにお出かけされたの?」
涼香   「それに、今日は少しいつもよりお洒落をしていかれたみたいで」
優衣   「優ちゃん、正直に教えて、今日は誰と出かけてきたの?」
優    「いや、待て待て。だから、朝行く時に言っただろ?学校の友達て言ってるだろ?」
涼香   「うん、言ってたよ?じゃあ、学校の友達って、誰?」
優    「だれって…孝太だよ。知ってるだろう?」
優衣   「優ちゃん、嘘はよくないよ?知ってるんだよ?」
優    「知ってるって何を…?」
優衣   「香澄ちゃんと涼香ちゃんが見たって聞いたよ?」
優    「えっ!?見たってなにを!?」
香澄   「今日、お兄ちゃんが知らない女とお出かけしているとこを」
優    「えっ!?お前らみていたのか?」
涼香   「うん、朝お兄ちゃんの様子が変だったから、気になって」
優    「まじか…もうばれてるのか…」
優衣   「うん、もうばれてるから白状しなさいよ」
優    「はいはい。話しますよ、全部」
優衣、香澄、涼香「では、聞かせてもらいましょうか」
そういって満面の笑みを浮かべている三人の女子の怖さを肌で感じた優は先週後輩の詩織に告白されたこと、付き合っていること、そしてこの前のデートのことを全て包み隠さず全部話すと、優衣と香澄はフリーズしていた…
香澄   「ふーん、そういうことね…」
涼香   「お、お兄ちゃんに、か、彼女が…」
詩織   「優ちゃんに恋人ができたなんて…」
優    「ま、そういうことだから」
そんなこんなで優は、危機を脱した。そして、また、いつもの日常に戻ると優は安直に考えていた……。