一番目に乗ったアトラクションは夢歌の大好きなジェットコースター。俺は大が三つ以上つくほど嫌いだ。しかし、夢歌に連れられ強制的に乗せられた。度重なるカーブ、心臓が止まるかと思った高低差が半端ない山なりのあれ。俺はたった一つのアトラクションで体力と精神力のほとんどをもっていかれた。
その後に遊んだのは、お化け屋敷、コーヒーカップやメリーゴーランド‥など多くのアトラクションで遊び、夢歌はとても楽しんでいるように見えた。途中途中で一つのジェットコースター(足がぶらぶらなるやつ)に乗るといったときは必死に抵抗してどうにか乗らずに済んだ。あれは乗った時並みに疲れた。
そんな楽しい時間はあっという間に過ぎ、時刻はもう少しで六時になろうとしていた。最後に観覧車に乗る!という夢歌の願いをしぶしぶ受け入れて乗った。ちなみに、観覧車も俺の苦手な乗り物の一つだ。ゴンドラがゆっくりと地面との距離を離して、見晴らしが良くなっていく。窓から見える景色に感動を覚えつつ、夢歌に聞いた。
「今日は楽しかった?」
「ハイなのじゃ」
「そう、なら良かった」
ほんとによかった。これで楽しくなかったからもう一回とか言われたら俺の体がもたない。
「それで一つ聞きたいんだけど……」
「どうしたのじゃ?」
「どうして、俺の隣に座っているの?」
夢歌が座っているのは、俺の隣。しかも、結構密着させて、
「気にするななのじゃ。なんとなくじゃから」
「さいですか」
その後も他愛のない会話をしていると、ゴンドラが頂上に到着した。二人は同時に
「「おぉーー」」
と声がもれた。窓から見える景色を見て、来たのは正解だったなと思う俺だった。そして、ゴンドラが地面との距離をゆっくりと縮め始めた時、右肩になにかがのったような気がした。俺は慌てて左腕につけた腕時計を見た。その針は6時を回っていた。あの噂は本当だったのか!!噂の内容は、「編集長は6時を過ぎると何をしていても寝てしまう」という事。そして、実際、夢歌は寝ている。ゴンドラが終わりへと近づく。起こす気にはなれない。なぜなら、その噂には続きがあり、「1度寝ると絶対に起きず、起こそうとすると……」だ。その後を語れる者は誰もいない。おー、こわいこわい。仕方ない、おぶって帰るか。その後、ゴンドラは無事、終点まで着き、俺は夢歌をおぶって観覧車を、そして、遊園地を後にした。その後、夢歌の家を聞こうとアリスに電話をした所、俺の家と逆方向だと分かり、アリスが途中まで迎えに来て、送っていくことになった。