「あー、はいはーい!俺新入りちゃんと2人きりで話したいことあんだけど!!」


未だに争う2人を例のごとくスルーし、エイチさんは右手を軽く上げて提案した。



……って、え。私?



「はあ?良い訳ないでしょ、あんたみたいな獣と2人なんて!!」

「トラウマに残りそうね。エス、悪いことは言わないからやめておきなさい。」

「ちょ!!だから酷いってー。俺、流石にせっかくの新入りちゃん苛めたりしないよ。そんなことしたらエムさんが困るだろー。」

「……困るのは俺だけじゃないけどな。」



相変わらず随分な扱いだが、私さえもここで断るのはちょっと申し訳ない。私は意を決して会話に割り込んだ。



「あ、あのー!少しだけなら……良いですよ」



しまった。上から目線だったかも。

言ってすぐ後悔したが、そんな心配は杞憂に終わったらしい。



「マジで?じゃあちょっと借りてくねー。すぐ戻るから!!」



一も二もなく私の腕を掴んで立ち上がると、会議室の鍵(カードキーだ。ここもハイテク)を持って扉を開け、外へ出た。




「よーし。俺と遊ぼっか、新入りちゃん。」