「よ、よろしくお願いします。」
あのアールさんと目が合ったと思うと、実に感慨深い。だけど浸っている場合じゃない。次は私の自己紹介だ。
「えと……私は後方支援科1年のエスです。能力は外傷治癒で、ランクはこの前No.7になりました。以前はA1班にいて、その……まだまだ未熟ですが、よろしくお願いします。」
緊張で震える声を抑えて言い終わると、細やかな拍手が帰って来た。
即座に『よし!!今すぐ歓迎会開こう!!』と叫び席から立ち上がったシイさんをユウさんが一蹴すると、エムさんは呆れ顔をしながらこちらを見る。
「ごめんね、エスさん。えっと……なんか、色々説明しておきたいことがあるんだ。なんで君がS班に抜擢されたのか、とか。」
「え…No.7になったからじゃないんですか?」
No.7以内=S班の方程式が頭の中で成り立っているため思わず尋ねるとどうやら違うらしく、エムさんは頭を振った。
「いや……それもあるけど、むしろそれは君を抜擢する上で必要な条件っていうか…………ああもう、俺こういうの無理だ。ケイ……任せた。」
なんか困らせちゃったかな……申し訳ない。でも気になってはいるので、私は体をケイさんの方へ向き直す。
「なんだそれ。………うーん、まず各班員の選ばれ方は知ってる?」
「え……基本的には試験のランク順。班員は例外もあるが最低半年間変わらない。S班の場合は上位7名、ですよね。」
「うん、9割正解。だけど少し違うね。ほら、俺言ったでしょ?『S班は色々優遇されてる』って。」
「はい……」
どうしよう、ますます分からない。
この説明の間皆さんは暇を持て余しているようで、特にシイさんはよっぽど退屈だったのか、とっくにユウさんを引っ張って会議室から出ていってしまった。
アールさんやエムさん、ケイさんまでも、『いつものことだ』とでも言うように2人を完全スルーしている。
さっきから迷惑掛けてばかりだ。早く理解して皆さんの暇を解消しないと。改めてケイさんの話に耳を傾ける。
「この学校は僕達3年が1期生だ。だから去年、2学年しか無かった頃各班は6人編成だった。
そして今年、多くの新入生が入って来たから各班は7人編成になり、基本的には4月の試験で各班員の補充、再構成が行われる。この班にも、4月の時点でのNo.7 が入ってくるはずだった。」
だけど、と先輩は前置いた。
「去年の12月からずっとNo.6以内を独占している僕達に、"今年に限りS班は7人目を選択できる"っていう特権が与えられたんだ。理事長直々にね。そしてその条件は、"7人目がNo.10以内であること"と"選択するまでは6人編成であり、その際のハンデ等は保障しない"こと。」
少しずつ、ピースがはまっていくような感覚だった。
周りが7人編成の中、私が前にいたA1班だけは8人編成で。
私を送り出してくれた皆の、羨望とも嫉妬とも落胆ともとれる視線。
「それで、皆で話し合ったんだよ。『この班には治癒能力者がいない。』『確かNo.12は治癒能力者だった。』ってね。
だからその子………つまりエスさんがNo.10以内に入るのを待ってたんだよ。」
あのアールさんと目が合ったと思うと、実に感慨深い。だけど浸っている場合じゃない。次は私の自己紹介だ。
「えと……私は後方支援科1年のエスです。能力は外傷治癒で、ランクはこの前No.7になりました。以前はA1班にいて、その……まだまだ未熟ですが、よろしくお願いします。」
緊張で震える声を抑えて言い終わると、細やかな拍手が帰って来た。
即座に『よし!!今すぐ歓迎会開こう!!』と叫び席から立ち上がったシイさんをユウさんが一蹴すると、エムさんは呆れ顔をしながらこちらを見る。
「ごめんね、エスさん。えっと……なんか、色々説明しておきたいことがあるんだ。なんで君がS班に抜擢されたのか、とか。」
「え…No.7になったからじゃないんですか?」
No.7以内=S班の方程式が頭の中で成り立っているため思わず尋ねるとどうやら違うらしく、エムさんは頭を振った。
「いや……それもあるけど、むしろそれは君を抜擢する上で必要な条件っていうか…………ああもう、俺こういうの無理だ。ケイ……任せた。」
なんか困らせちゃったかな……申し訳ない。でも気になってはいるので、私は体をケイさんの方へ向き直す。
「なんだそれ。………うーん、まず各班員の選ばれ方は知ってる?」
「え……基本的には試験のランク順。班員は例外もあるが最低半年間変わらない。S班の場合は上位7名、ですよね。」
「うん、9割正解。だけど少し違うね。ほら、俺言ったでしょ?『S班は色々優遇されてる』って。」
「はい……」
どうしよう、ますます分からない。
この説明の間皆さんは暇を持て余しているようで、特にシイさんはよっぽど退屈だったのか、とっくにユウさんを引っ張って会議室から出ていってしまった。
アールさんやエムさん、ケイさんまでも、『いつものことだ』とでも言うように2人を完全スルーしている。
さっきから迷惑掛けてばかりだ。早く理解して皆さんの暇を解消しないと。改めてケイさんの話に耳を傾ける。
「この学校は僕達3年が1期生だ。だから去年、2学年しか無かった頃各班は6人編成だった。
そして今年、多くの新入生が入って来たから各班は7人編成になり、基本的には4月の試験で各班員の補充、再構成が行われる。この班にも、4月の時点でのNo.7 が入ってくるはずだった。」
だけど、と先輩は前置いた。
「去年の12月からずっとNo.6以内を独占している僕達に、"今年に限りS班は7人目を選択できる"っていう特権が与えられたんだ。理事長直々にね。そしてその条件は、"7人目がNo.10以内であること"と"選択するまでは6人編成であり、その際のハンデ等は保障しない"こと。」
少しずつ、ピースがはまっていくような感覚だった。
周りが7人編成の中、私が前にいたA1班だけは8人編成で。
私を送り出してくれた皆の、羨望とも嫉妬とも落胆ともとれる視線。
「それで、皆で話し合ったんだよ。『この班には治癒能力者がいない。』『確かNo.12は治癒能力者だった。』ってね。
だからその子………つまりエスさんがNo.10以内に入るのを待ってたんだよ。」

