「あ~」


でもそのボールは、ゴールを大きくそれていった。


後半はFCウイングのペースで試合が進んでいく。


その中で修斗が倒され、フリーキックのチャンスを得た。


ゴール向かって左15メートル、修斗がボールをセットする。


「修斗」


「お父さん」


私たち3人も、スタジアム中の観客も、みんな修斗に視線を注ぐ。


審判がホイッスルを鳴らして、修斗が肩で大きく息を吐き、ボールを蹴り上げる。


鋭い軌道を描いたボールは、ゴールに向かって飛んでいく。


「あっ!」


スタジアム中が見守ったボールは、キーパーの手をかすめゴールネットに吸い込まれた。


その瞬間、スタジアム中が大歓声に包まれた。


「よっしゃー!」


凱斗が立ち上がって、大きな声を上げる。